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コラム

オークションのスナイパー

オークションにスナイパーといわれる人たちがいることを皆さん知っていますか?

オークションの締め切りギリギリに最高値を付けて、出品物を落札していく人のことです。オークション上は、締切時間を決めているので、締め切り直前に入札したもの合戦になってしまうのです。つまり、昨今のインターネットの発展の中で、高速入札が可能になり、いかにギリギリの入札ができるかを争うというインターネット時代以前には起こらなかった事象が起こり始めたのです。

では、今回は弊社グループの不動産オークションでは、その点をどう考えているか?についてコメントしていきたいと思います。

この事象について、2005年にAriely, Ockenfels, and Roth(2005)は競り上げ式オークションの終了間際に入札が殺到する「スナイピング」について研究しています。インターネットオークションのe-bayでのスナイピングからその研究が行われています。結果、終了時刻を厳格にするよりも、10分間延長ルールを採用すると価格が上がることをラボ実験で観察しています。

弊社グループの前身企業が、1999年に設立した株式会社アイディーユー(現;日本アセットマーケティング株式会社、以下「IDU」)であるというのは、ご存知の方もいるかもしれませんが、当時同じような問題をIDUでも抱えていました。

当時、投資用マンションをインターネットオークションで売却していました。投資用マンションと言っても、当時(2004年ごろ)は今ほど個人の方々が購入しているわけではなく、中古マンションの販売している事業者がある一定数の不動産を落札していました。自分が落札するということを考えたとき、最高値ということもありますが一番最後に価格を言えた人が落札するということでもあります。

つまり、終了時刻の設定が厳格であればあるほど、終了時刻に一番近い時間に入札する人が落札できるという矛盾が起こるのです。IDUの場合、それが起こりました。当時、今ほどインターネット回線が高速対応できておらず、ギリギリに入札しようという人が一斉に入札行動をとった結果、システムがダウンしました。まだ、人知のほうが勝っており、購買行動のほうが強かったということだと思います。

その後、終了ギリギリの入札があれば、終了時刻を延長するというルールに変更するわけですが、この結果、一番欲しい人が落札できる仕組みになりました。

オークションというのは、あくまで売りたい人が求めている条件で売れるようにするために考え抜いた仕組み(マシン)です。つまり、当時のマシンは、一番高く買う人に売りたいという売りたい人の意向をくめていなかったので、修正をしたということになります。

オークションのスナイパー、当時はなかなか難しい議論でした。

より良いオークションメカニズムを目指し、これからも研究検証していきます。

執筆者
今井 誠(いまい まこと)Auction Lab主宰(株式会社デューデリ&ディール取締役マーケットデザインラボ事業責任者

1998年、金融機関からキャリアをスタート
2001年、不動産オークション事業に関与し始める
その後、不動産オークションについて様々なオークションモデルを実践。
不動産ファンド等を経て、現在は、オークション理論をベースに不動産オークションを再構築し、その他「決め方」に関連する研究を行う。

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